そのものらしく

製品は、人類の叡智の成果である。

長い時を経て素材、色彩、形態を選択され育まれ現在に至る。積み上げてきたこれら成果に逆らうことなく、よりそのものらしいものを見出していくことが工業製品の役割の根底にはある。
あれといえばこれといった記憶の共通項として感じている断片を紡ぎ、誰もが理解し受け入れられる物こそ大量生産するべき工業製品である。なぜならそれらは、生活の基盤を担える存在であり、標準の暮らしを約束するからだ。
例を挙げるとすれば、辞書で紹介できるような物こそが、量産するべき工業製品のお手本である。

 

ものづくりの本 より