日本の美徳のひとつに「間」がある。

時間、空間にはじまり人間にもついている。住居でいえば居間や床の間といった具合に部屋を表す際にも用いられている。そもそも「間」とは何だろうか。

感覚として物質は存在しないが何かがある。余白に美しさを感じることも間の美学のように思う。物はすべてに敷き詰めてしまうよりも、ある空間にぽつんと一つ置かれた方が際立ち、より崇高に映る。
間は決して、何もない空っぽの無ではない。石一つで結界とする日本人独特の精神性は、間という存在にしっかりと重みを生じている。言葉で表現するとすれば、緊張感の満ちたどこまでも広がる精神の鏡とでもいえようか。石の結界も、日本人特有の霊性が育まれていなければただの石っころに過ぎない。その心があるからこそ、間に存在感が生まれ、時に圧迫感すらも生じる。この考えは主観であり、事象の捉え方は人それぞれで良いと思うが、いずれにしても間は、特に日本人にとってはとても大切な概念だと感じている。

間を纏うことで、物はより美しくなる。

 

ものづくりの本 より