ものづくりの本

地域性

均一化へ向かう世界の中で、今後一層大切にするべき概念が地域性だと思う。もうすでにその動きは活発に成りつつあるが、端的にいえば、固有のものを大切にするということ。産業革命以降、大量生産の時代となり今後も続くと思われるが、そんな中歯止めをかける希望のひとつが地域性であり、世の中を豊かにできる概念だとも考えている。

地球は人と比べると非常に大きく、場所によって風土が異なり、そこに住む人の生活も全く異なる。この事実は、その場でしか形成できない物が存在することを意味する。建築を例に挙げるとわかりやすい。
国との関係、都市との関係、風土との関係、住人との関係…と、建設するにあたってこれら要素が他の建築と同じになることはなく、絶対に違う建築が生まれる。しかし、場所が近ければそれだけ重なる要素が多く、類似性の高い建築になっても不思議ではない。そうして美しい街並みは生まれる。これは風景をもつくることでもあり、建築に限らず小さな物にもいえることだと思っている。何より、すべてが同じではつまらない。土地の特産があることで、旅する楽しみにもなる。ただし、お土産のためのものづくりにはあまり賛成できない。飽く迄その物の創出は地域の為であって欲しい。その地域に最も相応しい素材、色彩、形態であることが、より一層の魅力となり価値となる。そんな土地の匂いが染みついた物を持ち帰りたい。

ものづくりは、生活文化を担ってる。

 

ものづくりの本 より