前回のつづきで、鑿(のみ)を研ぐ。
購入したままの鑿は、先端がやや反っていて研がれていない。
この状態では垂直に削ることができないため、研いで平面を出す。
6000番にもなると研ぎ石と鑿(のみ)が吸い付いて「ぴたっ」や「ぬめっ」といった感覚で、削っているというよりも密着した吸盤をスライドさせているような感触になる。
この感触がつかめれば平面となっている証。
もちろん最初から上手くいった訳ではなくて、1回目はなかなか平面が出ず、感覚をつかんだ後に研ぎ直した。
これについては、研ぎの方向が自分に合っているかがとても重要で、僕の場合は横に研ぐのが合っていた。
写真は横に研いでいる様子だけれど、はじめ教わったのは鑿を縦にスライドさせて研ぐ方法だった。
僕のような初心者には、縦よりも横に研ぐのがおすすめ。
縦に研ぐ場合には、左手を刃先に添えて柄を右手に持って上下に研ぐ。
この方法の場合、左右の手の力加減がとても繊細で、刃先を研ぎ石に抑える力と移動させる力が別々なのでぐらつきやすくなる。鑿は購入した状態では刃先が反っているため、余計にその通りになりやすく、結果として1回目は若干反った仕上がりとなった。
横に研ぐ場合、押さえつける力と移動させる力を左右の手で同じように行えるため、ブレがなく精度が出やすい。明らかにやりやすかった。
とはいえ個人差はあるため、やりやすいと感じた方法が答え。
右が研いだ鑿。
研ぐと鏡のように映り込みが生まれる。
道具は正直だ。