雑貨のデザイン

中学生のとき、デザインという言葉の本質を知らないまま、工業デザイナーに憧れた。

電気さえあれば動く電子機器に未来を感じて、こんなものを手掛けてみたいと思い、外観だけでなく中身から美しくしたいという理由から工業高校の電子科へ進み電子機器組立技能士の資格取得やプログラミング等を学んだ。その上で大学は芸術学部デザイン学科へ進み、そこで初めて本質的な工業デザインを知ることになった。

不思議なもので、デザインという言葉の本質を知っているのはデザイナーだけと言って過言ではない。

実はこれはデザインに限らず、ありとあらゆる言葉に言えることで、その言葉(領域・分野)がどれだけ好きかに比例して付加価値が増し、意味はより一層広く深くなっていく。

例えば「デザイン」という言葉の一般的な理解は「見た目」のことを指しているけれど、本職としている僕ら工業デザイナーにとっては、形を成すにあたっての思想や計画、それが存在することで導かれるであろうより良い未来像といった無形のものや、製造、コスト、素材、色彩、形態、質感、人とものと空間に時間軸の関係など、様々な制約の円がすべて重なることで求められる最適解を「デザイン」と認識している。

「カッコいい」とか「かわいい」といった見た目も もちろん「デザイン」ではあるけれど、それは表層でしかない。

 

そんな僕がこの度、雑貨をデザインした。

ものとしては、コロナウィルス対策グッズ。
その名も「ドアオープナー 安心ねこ」

ドアオープナー安心ねこ コロナウィルス対策グッズ 猫
ドアオープナー安心ねこ

そもそも個人的に流行りものに手を出すことは好まない。でもこの道具は、今後普段使いするものとして定着しうると思い手掛けた。

そして、いつもであれば真っ当な工業デザインをするが、今回は「ねこ」をモチーフに選んだ。

ドアオープナー安心ねこ コロナウィルス対策グッズ 猫
ドアオープナー安心ねこ

基本的にプロダクトデザインにおける動物モチーフはタブーで、雑貨の類に入る。これは雑貨が良くないということではなくて、工業デザインは目的として暮らしにおける水準の向上を目指すため、道具に必要ない要素を付加すると雑味となってしまうから。さらに言えば動物のアウトラインというのは、その動物が自然環境に適応し生きていく上で最適な形態であるため製品の目的に完全に合致することは稀であり、そのような要素を加える行為は商業デザインとしての側面が強く、売るための手段のように思えてならない。

ドアオープナー安心ねこ コロナウィルス対策グッズ 猫
ドアオープナー安心ねこ

とはいえ、僕らデザイナーによるデザインの差異は、多くの方にとって見分けが付け難いものになってしまうのもまた事実であるため、すでに多くのドアオープナー・アシストフックが存在する中で、道具としてのドアオープナー・アシストフックを手掛ける意味があまりないと感じた。そして、例え商業デザインとしての側面が強くとも、この製品が広まることは社会的な意義がある。

そこで単純に、バックにつけてもかわいらしく、機能的にも優れたドアオープナーを手掛けようと至った。

ドアオープナー安心ねこ コロナウィルス対策グッズ 猫
ドアオープナー安心ねこ

工業デザイナーが、初めて本気で手掛けた雑貨。


⇒ご購入はこちら(Amazon)