服を買いに行こうとしたとき、思い浮かぶのは洋服ではないだろうか。本来であれば和服を普段着にするべきだが、今日の感覚では特別な日に着る特別な服が和服だ。とても不思議である。
しかしながら、私が提唱したいのは既存の和服をそのまま着るということではない。これまでの和服も大切だが、今着て環境に馴染めないという理由から離れてしまっていることを考えると、今日における日本の服が必要なのだと思う。
このような事例は挙げるときりがないが、靴や時計に家具など、身の回りには他国のものをそのまま取り入れている製品が多い。日本人はとても吸収力があり研究熱心で、心の底からものづくりに適したお国柄だと感じている。だが今日に至るまでに先人が築き上げてきた何千年という日本文化を唐突に否定するのは何とも寂しい。
漢字を取り入れひらがなを生み出したように、開国から一五〇年以上たった今、そろそろ吸収したものを一度整理し、日本製として洗練してみたい。
日本の日本による日本のためのものづくりを。
ものづくりの本 より