想いを込めて生み出す姿勢を表した言葉に「魂を込める」という表現がある。丹精込めてつくることは、自身の魂を込めてしまう程の域に達するという凄まじい比喩である。
似た習慣として、日本ではあらゆるものに神が宿ると考えられており、生活道具やお米などの食材に対しても、その名における神が宿っている。近年の何か少しでも秀でた者に対し安易に神という言葉を当てはめる風潮は少々大袈裟だと感じるが、神とは何かすごい存在であるということを日々無意識ながら生活していることは、見えない存在を信じる日本人の特性を今日に継承しているようにも思える。
少し逸れたが「魂を込める」とはある種、神が宿る行為なのかもしれない。魂を与えるほどの境地に至るとき、ものづくりの神は舞い降り、生を享けた物には神が宿っているのではないか。
神は細部どころか万物に宿る。
ものづくりの本 より