BRAUN DESIGN

良いデザインは革新的で実用をもたらし美的で分かりやすく謙虚かつ誠実で長寿であり細部まで一貫しており環境に配慮し、できる限りデザインしない。

この言葉はBRAUNデザインチームのチーフとして約40年間務めたディーター・ラムス氏による“良いデザインの10カ条”を文章にしたもの。ただし媒体ごとに日本語訳は異なるため原文から翻訳することをおすすめする。いずれにせよ今日においても通じる思想であることは言うまでもない。

勤められていた時代のBRAUN製品は今見ても素晴らしい。何に魅力を感じているのかを探るとすれば、ひとつは規則性だと思う。全体の設計から細部に至るまで同一コンセプトによって統一された姿に美しさを感じる。これは民藝の美とは異なる性質を持った美で、とても計画的に設計された整然たる美しさを有している。また、幾何学的な図形を多用していながらも決して合理的、機械的な表現にとどまらず愛嬌がある。何気なく施されているが色づかいも特筆に値する。
手掛けられたプロダクトをただ眺めるだけでも学びは多い。そして幸いなことに、だからこそ私たちは更に良い製品を手掛けることができる。

最後はディーター・ラムス氏のデザインフィロソフィーで締めくくりたい。
“Less but better”

 

参考文献
柳本浩市 佐野恵子 織咲誠(2005)『図録 ブラウン展 -形を超えたデザイン』 Glyph.