雲が好き。刻一刻と変化し多様な表情をみせてくれる。似たようなものはあっても、同様の雲を見ることは二度とない。同じがないということが、より一層の魅力を与えているようにも思う。
基本の白は、光の入り具合によって陰影が誇張されたり、時に豊かな色彩を帯びたりと、神様のらくがきと言われたら納得してしまうほど、自由奔放な遊び心を感じてやまない。入道雲、わた雲、おぼろ雲といったように、日本には多くの俗称が伝えられていることからも、昔から人々の関心の対象であったのだろうと想像できる。
不思議なのは、どのような雲であっても許容できてしまうということ。描かれた成果物はどれも美しく、人工物とは一線を画している。美の根源を考えてみるに、無有の循環がある。唐突に生じる雲は留まることなく形を変え、大きさを変え色を変え、そしていつの間にか雲そのものがなくなってしまう。生まれては無くなる、まるで輪廻を彷彿とさせる存在の性質に、生命のような美が宿るのではないか。
雲のような、純粋な形象に憧れる。