村上春樹さんの作家デビュー40年記念新潮文庫特製〈オリジナルブックエンド〉

村上春樹さん作家デビュー40年記念本立て

今年のはじめに、村上春樹さんの作家デビュー40年記念をお祝いした「文庫本サイズの本立て」をデザインさせていただいた。

話は、山口製作所で手掛けている「文庫本サイズの本立て」が、新潮社宣伝部の方の目に留まったことから。目に留まった理由は、クオリティーや質感の良さに加えて、サイズが文庫本だったため。

 

たぶん、このブックエンドを「いいデザイン」あるいは「デザインされている」と感じる方は少ないと思う。

理由は単純で、一般的に「デザイン」と言ったとき、多くの場合は「斬新」や「奇抜」を含んでしまうから。でも、僕ら工業デザイナーは、基本的に「道具として良いもの」を「デザインされている」と感じる。もちろん、言葉はそれぞれが異なる領域を示す柔軟な囲いであるから、別にデザインという言葉を使わなくてもいいのかもしれない。

冒頭に戻ると、こんなにも目立たない「ただのブックエンド」を見出して頂けたことは奇跡で、本当にありがたい。心より感謝申し上げます。

 

デザインの進め方としては、今回村上春樹さんの40周年を祝う「新潮文庫特製〈オリジナルブックエンド〉」をプレゼントするという企画であったため、この時点で普段生産しているブックエンドとは似て非なるものにしようと至った。その上で、新潮社の佐藤さんよりアルミできないかという打診を頂いたことから、鉄からアルミでの開発に変更になった。

鉄の素材的な特徴としては、薄くても強く、重さはあるがとても丈夫。アルミは、軽く、強度はあまりないものの、AppleのMacによる影響からか、親しみやすい印象がある。時代的にも良いと思った。このアプローチは、リミテッドエディションならでは。

ちなみに豆知識として「文庫本サイズ」というのは、実は存在しない。各社で微妙に異なったサイズで出版されている現状がある。だからこそ、製作するにあたっては、新潮文庫に完全にフィットする寸法に変更した。最終的には、表面処理はアルマイトで小口はヘアライン仕上げを選択。

 

村上春樹さんの作家デビュー40年記念新潮文庫特製〈オリジナルブックエンド〉

こういったものを手掛けるときは、水のようでありたいと思ってる。

 

村上春樹さんの作家デビュー40年記念新潮文庫特製〈オリジナルブックエンド〉

村上春樹さんの作家デビュー40年記念新潮文庫特製〈オリジナルブックエンド〉

村上春樹さんの作家デビュー40年記念新潮文庫特製〈オリジナルブックエンド〉

人様の記念日に携われることは、本当に光栄なこと。
これからも精進しよう。